太平洋岸自転車道をつないじゃえプロジェクト2021

それは和歌山の自転車乗りの雑談から始まった

2021年5月31日。

千葉県銚子市から和歌山県和歌山市を結ぶ総延長1400km超に及ぶ自転車道がナショナルサイクルルート(NCR)に選ばれた。

NCRは国が認定する「日本を代表するサイクリングルート」である証。2019年には周辺自治体を中心に「太平洋岸自転車道ナショナルサイクルルート指定推進協議会」が設立され、働きかけを続けていた。太平洋岸自転車道(PCR)構想が持ち上がった1969年から足掛け52年に及ぶ悲願が実った瞬間だった。

当然、PCRが通過する自治体やサイクリング関係者は沸き立った。その中には起終点である和歌山県で民間ながらも様々な自転車活用振興を行ってきた和歌山サイクルプロジェクトもいた。

その中心人物である西林とGONZAはすぐさま動いた。「PCRを一番最初に走っちゃえ」。PCRには和歌山サイクルプロジェクトとしても大きな期待をかけているが、だからこそ実走して現時点でのPCRを肌で感じる必要があったのだ。

公的な補助はない。経費は自腹とカンパのみ。オッサン2人の挑戦が人知れず始まった。

計画を始めて知る無謀さ

1,400kmくらい楽勝でしょ。

自転車乗りは初中級者でも100km前後は走るし、ましてや和歌山サイクルプロジェクトの2人は片や元レーサー、片や毎日自転車通勤をしている猛者である。しかし改めて計画に落とし込んでいくとハタと気づく。「これ、キツイな…」。

何より厳しいのが日程だ。2人とも様々なイベントやプロジェクトをこなしてきたが、そもそも単なる一般人かつまっとうな社会人。西林に至っては和歌山市役所に勤める公務員である。もちろん出張になるわけもない。そう簡単に長い休みは取れないのである。そして「やるなら夏休みのお盆期間しかないね」。

そうして出来上がったのがこちらの計画。少なくとも初日と最終日だけは早めることも送らせることもできない。なぜなら仕事があるから…

2人は想像し得ないプレシャーにさらされながら走らざる得なくなった。

DAY1 千葉県銚子市犬吠埼〜神奈川県横須賀市

銚子市役所に回って大歓迎を受けた。

犬吠埼からいよいよPCRだ

フェリーに乗らなきゃいかん。

急げ〜

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DAY2 神奈川県横須賀市〜伊豆高原

2日めは大雨。

せっかくの湘南も雨に煙っている。

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DAY3 静岡県伊豆高原〜静岡県函南町

超大雨。

本来は伊豆半島を1周する予定でいたが、あまりの雨風に晴明の危険を感じ、半島を横断する短い方のルートを選択。

それでもヒルクライム中にふっとばされそうになる。

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DAY4 静岡県函南町〜静岡県御前崎市

前日の大雨から一転して快晴のサイクリング日和に。あまりの変わりぶりに日本の大きさを感じた4日目。

この日からサポートカー担当として株式会社Seabirdの野地さんが合流。これに乗じて西林も、GONZAのソロライドを支えるべくライドチームに移行する。

このセクションは富士山を通過する、PCRの中でも1,2を争うフォトジェニック区間。カメラマン・西林の創作意欲を刺激したのか、大量の富士山バック写真が撮影されている。特に三保の松原付近は感動すら覚えた。

東京五輪の自転車競技会場になったこともあり、さすがに静岡東部は整備が行き届いている。伊豆の山の上から沼津を通過し、久能山を越えて静岡市に入るまではほぼ迷うこと無く走行可能だった。街中の走行はあるものの、ロードバイクでのサイクリングには非常に向いたエリアと言えそうだ。比較的高速域で走ることができ、初中級者から上級者まで満足できるのではないか。

対して静岡市内に入ると様相が一変。専用道も多いのだが、自歩道通行が多くなり、ほぼほぼ車道を走ることがない。静岡市内は政令都市でもあり、交通量も多いいための配慮か。

ロードバイクの2人は最初こそ不満げだったが、車道を走らせないことに徹底した姿勢を感じて考え方が変わった。「確かにロードバイクだと不満も残るが、都市部であり、ファミリーも多いであろうことを考えると、安全性を優先させたのは理解できる。乗っていて楽しくはないが、例えばお父さんがお子さんと初めてのサイクリングするには最適の環境だろう。それはそれで卓見だと思う」とGONZA。一方の西林は「サイクルステーションになっている道の駅宇津ノ谷峠など、派手さはないがサイクリストが実際に使う上で必要と思われるものは揃っていたし、エリア的に非常に配慮を感じられた」と感心しきりだった。

焼津から牧之原にかけての道は比較的交通量もおさまり、レジャーサイクリングに向いていると言える。特に牧之原市はかつての簡便鉄道廃線跡をサイクリングロードとしており、スピードを出せるわけではないが、市民の日常使いであることも相まって非常に雰囲気がいい。のんびり走る楽しさを再確認させてくれる。途中からは海沿いということもあって快適なサイクリングとなった。

ようやく一行はこの日のゴールである御前崎市に到着。するとマリンパーク御前崎では御前崎市の有志が集まり、一行を歓迎してくれた。横幕まで作ってのお出迎えにはライダーチームも感激しきり。マスコミの取材もあり、県議の大石議員も激励に駆けつけるなど、徐々に注目度が上がってきたことを実感するとともに、これまでのような仲間内のミニイベント気分ではいられないことを悟り、身が引き締まる思いだった。

ちなみにこの日の宿泊は御前崎市役所融資の強い推奨で割烹民宿・聖火さんへ。五輪前に縁起がいい。そしてコスパ抜群な料金にも関わらず豪勢な遠州灘の幸を堪能させていただいた。お母さん、おにぎり美味しかったです!また寄らせていただきます!

DAY5 静岡県御前崎市〜三重県鳥羽市

この日は御前崎市とお隣の袋井市の有志が集合してくださり、先導していただけることに。ありがたや〜〜〜!

一行は浜岡の原子力発電所を越えたところにある浜岡砂丘で小休止。太平洋岸最大級の砂丘ということもあり、とりあえず砂丘に登る。もちろんロードバイクで。が、下れるはずもなく砂まみれのオッサンたち。ちなみに写真の3/5が公務員であり、公務中である(笑)

 

ここから袋井市付近のエリアは田園風景と海沿いの道とが重なる素晴らしいサイクリング向きの道路。特に浅場海岸付近は大規模な防潮堤が自然と調和する感じで設置されていて、非常に興味をそそられるサイクリングルートとなっていた。そこで袋井市役所の方々の歓待を受け、メロンをごちそうに。砂地が生み出す甘さは極上!行ったら絶対に食べるべき!

 

そこから磐田市に向かうのだが、このあたりは手入れされていない海沿いのサイクリングロードで、砂が堆積しロードバイクだけではなくファットバイク以外は走れないような道。NCRを期に整備体制を整えていただきたいものだ。逆に整備が難しいようであればルートを変更することも視野にいれるべきだと感じた。

 

さて、一行は浜名湖へ。こちらも自転車に力を入れている地域であり、浜名湖観光ビューローの方が差し入れ&ご挨拶に来てくださった。ありがたい限り!エナジードリンクで復活し、ついに愛知県に突入です。

 

道の駅豊橋で待っていてくれたのは豊橋市と田原市の有志の皆様。田原市の方々からはジャージの交換を申し出ていただき感激でした。そのまま道案内していただきつつ田原市の道の駅あかばねに寄り道。なんとここでもFacebookへのリアルタイム投稿を見て応援に駆けつけてくれた方々が。本当にありがとうございました。

 

この日の最後は鳥羽。つまり伊良湖岬からフェリーに乗らなければいけない。もちろん船は待ってくれないからこちらが急ぐしか無い。せっかく一緒に走ろうと応援を勝って出てくれた方々を泣く泣くぶっちぎるライダー2人。平均30km超でぶっ飛ばしてなんとかフェリーに間に合いました。

DAY6 三重県鳥羽市〜三重県尾鷲市

さすがに6日目ともなると顔にも疲れが。しかし気を取り直して尾鷲市までの道のりを進みます。

実はこの区間は北回りと南回りがあり、それぞれお伊勢さんと志摩の多島美がある。今回は事前に連絡を頂いていた度会町のある山廻りルートを選択。宮川沿いに北上し宮リバー度会パークに寄り道。こちらで度会町の皆さんの歓待を受けた。水出しのお茶、美味しゅうございました!

 

ここからはなかなかの斜度のヒルクライムゾーン。名前から分かる通りPCRは海沿いばかりを走るので久々の山区間に元気が戻る。途中、大紀町の道の駅奥伊勢木つつ木館では大紀町観光協会の方顔お出迎えしてくれた。ちなみに「たいき」町と読むことから当エリアでは大紀町に来ることを「大紀圏突入」と言うそうである。素晴らしい!

 

実はこの日は久々の雨。さすがは雨の街・尾鷲に向かっているだけある。紀北町の道の駅紀伊長島マンボウで紀北町有志の方々と合流。これがまた鬼脚の持ち主の方々で、疲れ切っている繋ぎ隊を引っ張ってくれた。道の駅海山で小休憩。そのまま尾鷲市まで送り届けていただきました。

 

その尾鷲市では驚くことが。ゴールセレブレーションでお出迎えいただいた方の数が尋常ではない。テレビに新聞にとマスコミの方々も大挙して押しかけてきており、市役所の偉い方からユルキャラちゃんまで勢揃い。手厚い歓待ありがとうございました。一行はそのまま熊野まで向かったが、GONZAは実は尾鷲出身のため実家に一時帰宅。英気を養って翌日を迎えることに!

DAY7 三重県尾鷲市〜和歌山県串本町

尾鷲市内の実家で休養をとったGONZA。しかしこの日も雨風がひどく、道中で最も苦しい1日となった。

尾鷲市は風光明媚な山と海の織りなす風景がウリだが、いかんせん疲れが溜まった体にはキツイものがあった。そして迎えた鬼ヶ城。世界遺産にも含まれている名勝だが、ここはある意味でPCRつないじゃえプロジェクトの一番の象徴となる場所だった。

このエリアではPCRは地域の唯一の幹線道路である国道42号に設定されている。当然、交通量は非常に多いのだが、鬼ヶ城を通過するためにはトンネルを通らなければいけない。しかしこのトンネルは軽車両通行禁止のため、自転車は国道を横切る横断歩道を自転車を担いで上り、細い旧道?を通過しなければいけないのだ。

もちろんNCR制定直後とあってまだしっかりとした標識はなく、トンネルの直前で軽車両通行禁止を見たときにはもう引き返しようがない。サイクリングルートと言うより、自転車の走行帯として非常に危険な仕様だった。この県はすぐさま有志としても参加してくれていた地元の方に「陳情」。すでに改良が計画されているという。ありがたい限りだ。

それがようやく終わったのは熊野市に入ってから。熊野市の有志の皆さんのガイドをいただきつつ有名な獅子岩へ。ライオンが吠えているように見えることからついた名前だが、確かに獅子っぽい!こういうのサイクリストはとても好きなので、ぜひ有効活用して下さい!

熊野からの道は西の九十九里とも呼ばれる長い砂浜が自慢の平坦路。2ケタ国道がPCRに指定されているとあって初中級者は気をつけたいエリア。しかし2人には逆に早めの速度域がありがたかったようで、ほぼAve35kmでぶっ飛ばしていく。あっという間に紀宝町有志の方がお待ちになっている道の駅紀宝町ウミガメ公園に到着。道の駅では日本唯一というウミガメの水族館を拝見し、特産のマイヤーレモンスカッシュをいただきました。超美味しゅうございました。

道の駅から少し行くと現れたのは熊野川。これを渡ると和歌山県。2人の顔もこころなしかにやけている。やはり1000kmを超える距離を走破して地元に帰ってこれたことは嬉しいのだろう。新宮市役所の皆様のご歓待を受けると、同じ新宮市内にある和歌山サイクルプロジェクトのメンバーでもある西村氏のスポーツバイクショップ「WHEEL ACTION」へ行き、バイクの緊急うメンテナンス。昼食をいただき、伴走も頂いた。ありがとうございました!

 

本来ならば旅のメーンにもなりうるほどの美しさを誇る勝浦〜太子の海なみ風景だが、疲れ切った体にはかなり厳しいルート。いつもならハシャイで登るようなツールド熊野の名物坂もただただキツイだけ。ただただとにかくコーラを胃袋にブチ込んで即効エネルギー回復し、走れるだけ走ってコーラを飲む。ゴールの串本の目前の、道の駅くしもと橋杭岩についたときには這々の体だったが、わざわざこのプロジェクトを追いかけて東京から来てくれた記者さんの熱烈取材を受け、なんとかゴール。これだけ元気のないGONZAは初めて見たというほどだった。

DAY8 和歌山県串本町〜和歌山県御坊市

さあ、残すところはあと2日。そう思うと、昨日までの体の重さが嘘のように軽くなる。きっとデトックスが終わったのだろう。昨日までは臭かった汗が、全くの無臭になっている。足も軽いしよく回る。つまリ戦闘態勢が出来上がったということだ。

繋ぎ隊の面々は串本駅前から本州最南端の潮岬半島をぐるっと廻ると、そのまま海岸線を北上。恋人岬やら海中ポストやら楽しそうなスポットがたくさんあったが時間がないため泣く泣く省略。道の駅イノブータンランド・すさみ、道の駅志原海岸で小休止後、二手に分かれる。GONZAはそのままPCRをルート通りに走り、西林はゲートウェイに指定されている南紀白浜空港へ調査に向かった。

ゲートウェイというのはPCRと通常の交通の結節点で、たとえば空港や電車から乗り換えてPCRを楽しんでもらうための重要なクロスポイントとなるため、実はここまでのすべてのゲートウェイを調査してきたのだ。

で南紀白浜空港はというと、ちょっと寂しい状況に。PCR唯一の空の玄関口なのだが、サイクルラックや工具などもあまり手入れされている状態とは思えず、レンタルサイクルの場所もサイクリングマップなどの情報入手先も、誰に聞いてもわからない。少し寂しくなった。

 

その後一行はサイクリングにおける南紀白浜のキーポイントであるGIANTさんのお店で合流。ご挨拶の後には白浜付近が海岸ルートと内陸ルートの2つに分かれていたため、もう一方のルートの重要地点である上富田サイクルステーションKMICH(クミッチ)さんへ。

こちらでは和歌山県西牟婁振興局、田辺市、すさみ町、白浜町、上富田町さんの有志が応援に駆けつけてくれました。川添茶、美味しゅうございました。正直、静岡に入ってからずっとお茶の振る舞いがあったんですが、カテキンとカフェインが効いて非常にサイクリング向きだと分かりました。

 

この日のゴールは御坊市。こちらでも有志の面々が途中までお出迎えに来てくれた。ありがたい話だ。翌日もゴールの和歌山市加太まで伴走してくれるという。この日は御坊市内のことぶき旅館さんに宿泊。最後の1日のための鋭気を養った。

 

 

DAY9 和歌山県御坊市〜和歌山県和歌山市

泣いても笑っても最終日。天気は相変わらずだが、やる気はみなぎっている。

昨日に引き続き、御坊市の有志の面々と和歌山までの130kmに挑む。比較的おとなしめで雄大な景色の続いた紀伊半島東岸に対して西岸は荒々しい岩や入り江が続く目に楽しいルート。アップダウンもあるが、それもサイクリングの醍醐味だ。

一行はまず御坊市からすぐの美浜町に。わざわざ町長ご本人のお出迎えにビビる繋ぎ隊。カナダミュージアムの素敵な雰囲気を感じつつ北へ北へ。御坊〜由良間の激坂で大量の屍を作り出しつつ一行は道の駅白崎海洋公園へ。奇岩の並ぶ白崎海洋公園は日本じゃないみたいで、是非足を運ぶべき。

その先の広川ビーチ駅で小休止時には和歌山サイクルプロジェクトのメンバーが差し入れに来てくれた。繋がり、本当にありがたい!

一行はその後、醤油の聖地・湯浅町を経てみかんの聖地・有田と聖地巡礼の旅。有田では有志の面々にお昼の場所を提供していただきました。

 

ここからは2人の地元とあってパレードラン気分。後は加太のゴールで待っている仲間たちのもとに帰るだけ。

しかしここで大事件が!

なんと、ゴール地点の加太で和歌山市長を始め多くの市民とマスコミが待っているとのこと。まさかそんなことになっていると思っていなかった繋ぎ隊、やばいとばかりにスピードアップ。中央市場で水分補給すると一目散に加太へ。

 

加太の駅を過ぎ、港の突端を大きく左に曲がるとあとは数百mでゴール。このあたりから和歌山の自転車乗りが集まり始め、最後はツール・ド・フランスのような大勢でのパレードランとなった。

 

9日間、1400kmの度はここで一旦終了。

疲れ切った体に比例して、繋ぎ隊の心は熱く火照ったまま、覚めることはなかったのでした。

Epilogue

自転車乗りの思いつきで始めたグレートジャーニーは思いがけぬ「大事」となって幕を閉じた。しかしそこまでには多くの方々の応援と励ましがあったのは間違いない。もはや思いつきですと口が裂けても言えない。である以上は、恩返しとしてこの度の記録をまとめるべきだ。そこでお誘いをいただいたこともあり、

 

★NPO法人自転車活用推進研究会

 

★一般財団法人日本スポーツコミッション

 

の研究会において、旅をまとめたレポートを発表させていただいた。そのまとめはPCRに関わる方々及び、すべてのサイクリストの財産と考え、稚拙ではありますが、ご笑覧いただけるようにいたしました。もし皆様方の一助となれば幸いです。